2014年7月2日 (仮訳)新種Parasola cuniculorumを含むブリテン産ヒメヒガサヒトヨタケ属菌 Schafer, DJ., 2014. The genus Parasola in Britain including Parasola cuniculorum sp. nov. Field Mycology. Available at: http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1468164114000401 [Accessed July 2, 2014]. 【R3-00864】2014/07/02投稿 【お読みください】 大菌輪のコンテンツ「論文3行まとめ」は、あくまで論文の検索の補助として提供されている情報です。作成者は専門家ではなく、翻訳や内容の解釈が誤っている場合がありうるので、正確な情報は必ず元の論文で確認してください。また、このページのリンクは必ずしも有効ではありません(大菌輪未掲載の種や、MycoBank/Species fungorum未登録の種がありうるため)。 3行まとめ ブリテンで見出されたヒメヒガサヒトヨタケ属菌12種の記載文と検索表を形成した。 そのうちウサギの糞にしばしば発生する種を、本論文でParasola cuniculorumとして新種記載した。 P. cuniculorumは従来、P. miseraの2胞子性の型と考えられてきた。 UK, England, South West Yorkshire, Hatfield Moor (新種) Parasola cuniculorum D.J. Schaf. 語源…ウサギの(ウサギの糞にしばしば発生することから) 【よく似た種との区別】 Parasola misera(マグソヒメヒガサヒトヨタケ) ブリテンに分布する 絶対的な糞生菌である 子実体がごく小型 傘の直径が10 mm未満 担子胞子の角が丸まる 担子胞子頂部に乳頭を欠く 担子胞子の幅がしばしば長さを超える 側シスチジアを欠く 本種と異なり主にウサギではなく様々な動物の糞に発生する 本種と異なり担子器が常に2胞子性ではなく4胞子性 分子系統解析で区別される (Nagy et al. 2010) (その他掲載種) Parasola auricoma (Pat.) Redhead, Vilgalys & Hopple. オオカバイロヒトヨタケ 【よく似た種との区別】 Parasola conopilus(オオナヨタケ) 同じAuricomi節に含まれる ブリテンに分布する 傘の組織に細長い黄金褐色厚壁の剛毛を含む 分子系統解析で近縁(Larsson & Örstadius 2008; Nagy et al. 2009) 本種より傘が開かず、傘形ではなく円錐形にとどまる 本種と異なり成熟しても傘が裂けない 本種と異なり担子器が不稔の細胞(偽側糸)に囲まれない 本種と異なり担子胞子が褐色ではなく暗褐色 本種と異なり担子胞子が楕円状卵形~楕円形ではなく楕円形で僅かに平らになる 本種と異なり発芽孔が中心生(時に僅かに偏心生)ではなく中心生~偏心生 本種と異なり側シスチジアを欠く (その他掲載種) Parasola conopilus (Fr.) Örstadius & E. Larss. オオナヨタケ 【よく似た種との区別】 Parasola auricoma(オオカバイロヒトヨタケ) 同じAuricomi節に含まれる ブリテンに分布する 傘の組織に細長い黄金褐色厚壁の剛毛を含む 分子系統解析で近縁(Larsson & Örstadius 2008; Nagy et al. 2009) 本種より傘が開き、円錐形ではなく傘形になる 本種と異なり成熟した傘が裂ける 本種と異なり担子器が不稔の細胞(偽側糸)に囲まれる 本種と異なり担子胞子が暗褐色ではなく褐色 本種と異なり担子胞子が楕円形で僅かに平らになるのではなく楕円状卵形~楕円形 本種と異なり発芽孔が中心生~偏心生ではなく中心生(時に僅かに偏心生) 本種と異なり側シスチジアを持つ (その他掲載種) Parasola galericuliformis (Watling) Redhead, Vilgalys & Hopple ※著者は本種とP. leiocephalaを当面別種とみなす立場をとった。 【よく似た種との区別】 Parasola leiocephala(コツブヒメヒガサヒトヨタケ) 形態的、系統的に類似している(同種とする意見がある) ブリテンに分布する 担子胞子が正面から見ると5-6角形 縁シスチジアに油滴を欠く 傘の細胞に油滴を欠く 本種と異なり担子胞子が非常に丸く膨らんだ形状ではなくレンズ状(ただし、この差異は子実体の成熟度に起因するという意見があり、時に互いに類似した形状となる) 本種と異なり担子胞子の頂部に小さいが顕著な乳頭突起を有する Parasola schroeteri 担子胞子の形状が類似している 本種より担子胞子のサイズが小さい Parasola misera(マグソヒメヒガサヒトヨタケ) 担子胞子の形状が類似している 本種より担子胞子のサイズが大きい (その他掲載種) Parasola hercules (Uljé & Bas) Redhead, Vilgalys & Hopple. 【よく似た種との区別】 Parasola schroeteri 形態的に類似している(同種とする意見もある) 担子胞子の頂部が広く丸くなり、乳頭突起を欠く 縁シスチジアに油滴を欠く 傘の細胞に油滴を欠く 本種と異なり糞に発生する(ただし、本種が糞に発生したという報告もある) 本種より傘のサイズが大きい(ただし、P. schroeteriの非常に小さい子実体も報告されている) 本種より傘が赤色ではなく黄色に近い 本種と異なり傘の縁部が円鋸歯状 本種より襞の間隔が密 本種より小襞の数が多い 本種より柄の幅が広い 本種より担子胞子の幅が狭い 分子系統解析で明瞭に区別される (Nagy et al. 2009) (その他掲載種) Parasola kuehneri (Uljé & Bas) Redhead, Vilgalys & Hopple. 【よく似た種との区別】 Parasola leiocephala(コツブヒメヒガサヒトヨタケ) ブリテンに分布する 本種より通常傘が淡色 本種ほど傘が橙赤色を帯びない 本種より担子胞子のサイズが大きい 本種と異なり担子胞子が褐色ではなく暗赤褐色~ほぼ黒色 本種より担子胞子の幅が広い 本種と異なり担子胞子が三角形・尖帽形・菱形ではなく丸い心形~楕円形 Parasola schroeteri ブリテンに分布する 形態的に類似している 本種より担子胞子のサイズがずっと大きい Parasola plicatilis(ヒメヒガサヒトヨタケ) ブリテンに分布する 本種より草地にしばしば発生する傾向がある 本種ほど傘が橙赤色を帯びない 本種より担子胞子のサイズがずっと大きい 本種と異なり担子胞子が三角形・尖帽形・菱形ではなく不規則な6角形・レモン形・丸い5角形・卵形・類扁桃形・楕円形・広楕円形など (その他掲載種) Parasola leiocephala (P.D. Orton) Redhead, Vilgalys & Hopple. ヒメヒガサヒトヨタケ ※著者は本種とP. galericuliformisを当面別種とみなす立場をとった。 【よく似た種との区別】 Parasola galericuliformis 形態的、系統的に類似している(同種とする意見がある) ブリテンに分布する 担子胞子が正面から見ると5-6角形 縁シスチジアに油滴を欠く 傘の細胞に油滴を欠く 本種と異なり担子胞子がレンズ状ではなく非常に丸く膨らんだ形状(ただし、この差異は子実体の成熟度に起因するという意見があり、時に互いに類似した形状となる) 本種と異なり担子胞子の頂部に小さいが顕著な乳頭突起を欠く Parasola plicatilis(ヒメヒガサヒトヨタケ) ブリテンに分布する 担子胞子に乳頭突起を有する 本種と異なり通常草地にのみ発生する 本種より子実体のサイズが通常やや小さい 本種より襞の間隔が僅かに広い(可能性がある) 本種より担子胞子が長い 本種より担子胞子の幅が狭い 本種より担子胞子のQ値が大きい 本種と異なり担子胞子が球形に近い5-6角形ではなく楕円形に近い5-6角形 Parasola kuehneri ブリテンに分布する 本種より通常傘が濃色 本種より傘が橙赤色を帯びる 本種より担子胞子のサイズが小さい 本種と異なり担子胞子が暗赤褐色~ほぼ黒色ではなく褐色 本種より担子胞子の幅が狭い 本種と異なり担子胞子が丸い心形~楕円形ではなく三角形・尖帽形・菱形 Parasola lilatincta ブリテンに分布する 成熟した子実体が形態的にほとんど区別できないほど類似している 担子胞子のサイズが類似する 担子胞子の形状がかなりレンズ状 担子胞子に顕著な乳頭突起を有する 本種と異なり若い子実体が淡紫色を帯びる 本種より担子胞子のサイズが大きい 本種と異なり縁シスチジアに油滴を含む 本種と異なり傘の細胞に油滴を含む (その他掲載種) Parasola lilatincta (Bender & Uljé) Redhead, Vilgalys & Hopple. 【よく似た種との区別】 Parasola leiocephala(コツブヒメヒガサヒトヨタケ) ブリテンに分布する 成熟した子実体が形態的にほとんど区別できないほど類似している 担子胞子のサイズが類似する 担子胞子の形状がかなりレンズ状 担子胞子に顕著な乳頭突起を有する 本種と異なり若い子実体が淡紫色を帯びない 本種より担子胞子のサイズが小さい 本種と異なり縁シスチジアに油滴を欠く 本種と異なり傘の細胞に油滴を欠く (その他掲載種) Parasola megasperma (P.D. Orton) Redhead, Vilgalys & Hopple. 【よく似た種との区別】 Parasola schroeteri ブリテンに分布する 土壌または糞に発生する 担子胞子の形状の範囲が重なる 分子系統解析で明瞭に区別されない (Nagy et al. 2009) 本種より担子胞子が短い 本種より担子胞子のQ値が小さい 本種と異なり担子胞子が卵形・楕円形・広楕円形ではなくよりレンズ形の丸い三角形または盾形 Parasola plicatilis(ヒメヒガサヒトヨタケ) ブリテンに分布する 担子胞子に乳頭突起を持つ(可能性がある) 本種と傘の色が異なる 本種より担子胞子の幅が狭い 分子系統解析で明瞭に区別される (その他掲載種) Parasola misera (P. Karst.) Redhead, Vilgalys & Hopple. マグソヒメヒガサヒトヨタケ 【よく似た種との区別】 Parasola cuniculorum ブリテンに分布する 絶対的な糞生菌である 子実体がごく小型 傘の直径が10 mm未満 担子胞子の角が丸まる 担子胞子頂部に乳頭を欠く 担子胞子の幅がしばしば長さを超える 側シスチジアを欠く 本種と異なり主にウサギの糞に発生する 本種と異なり担子器が4胞子性ではなく常に2胞子性 分子系統解析で区別される (Nagy et al. 2010) (その他掲載種) Parasola plicatilis (Curtis: Fr.) Redhead, Vilgalys & Hopple. ヒメヒガサヒトヨタケ 【よく似た種との区別】 Parasola leiocephala(コツブヒメヒガサヒトヨタケ) ブリテンに分布する 担子胞子に乳頭突起を有する 本種と異なり生息地が草地に限られない 本種より子実体のサイズが通常やや大きい 本種より襞の間隔が僅かに狭い(可能性がある) 本種より担子胞子が短い 本種より担子胞子の幅が広い 本種より担子胞子のQ値が小さい 本種と異なり担子胞子が楕円形に近い5-6角形ではなく球形に近い5-6角形 Parasola kuehneri ブリテンに分布する 本種と異なり生息地が草地に限られない 本種より傘が橙赤色を帯びる 本種より担子胞子のサイズがずっと小さい 本種と異なり担子胞子が不規則な6角形・レモン形・丸い5角形・卵形・類扁桃形・楕円形・広楕円形などではなく三角形・尖帽形・菱形 Parasola megasperma ブリテンに分布する 担子胞子に乳頭突起を持つ(可能性がある) 本種と傘の色が異なる 本種より担子胞子の幅が広い 分子系統解析で明瞭に区別される (その他掲載種) Parasola schroeteri (P. Karst.) Redhead,Vilgalys & Hopple. 【よく似た種との区別】 Parasola megasperma ブリテンに分布する 土壌または糞に発生する 担子胞子の形状の範囲が重なる 分子系統解析で明瞭に区別されない (Nagy et al. 2009) 本種より担子胞子が長い 本種より担子胞子のQ値が大きい 本種と異なり担子胞子が丸い三角形または盾形ではなく本種ほどレンズ形でない卵形・楕円形・広楕円形 Parasola kuehneri ブリテンに分布する 形態的に類似している 本種より担子胞子のサイズがずっと大きい Parasola galericuliformis 担子胞子の形状が類似している 本種より担子胞子のサイズが大きい (その他の分類学的知見および措置) Parasola leiocephalaを北米産のP. lacteaのシノニムとするNagy et al. (2010) の意見に対して疑問を呈し、当面別種とする意見を表明した。 Parasola hemerobiaは研究者によって様々に解釈されてきた種だが、原記載がこんにちのP. auricoma、P. kuehneri、P. megaspermaなどに合致するとし、また分子系統解析 (Nagy et al., 2009) でも独立種として認められなかったことから疑問種とした。